「欠けにくさ」の理由
歯科材料として用いられるジルコニアは、純粋な酸化ジルコニウムに、イットリア(Y2O3)等を加えて、結晶の構造を安定化させたものです。 歯科用セラミックの中で最高の強度を持ち、透過性、 優れた生体親和性を有しています。その特性から、従来はセラミックのみでは難しかった症例でも、適応が可能になりました。
歯科用のジルコニアは、特殊な性質を持つファイン・セラミックで、純粋な酸化ジルコニウムよりも、強度や靭性などの機械的特性に優れています。ジルコニアの優れた特徴の一つに、極めて破損しにくい点があげられますが、これは破損の原因となる亀裂が伝わるのを、結晶構造の変化によって阻止するためです。
ジルコニアが大きな力を受けると、結晶が体積膨張をしながら、構造を変化させます。その際の体積膨張が、大きな力を受けて生じたクラックを押しつぶし、クラックの進展を防止するのが、ジルコニアの大きな特徴です。 この特異なメカニズムは「応力誘起相変体強化機構」と呼ばれており、このメカニズムによって、ジルコニアの靭性(材質の粘り強さ、外力によって破壊されにくい性質)の高さが支えられています。