口臭対策

 

誰でも、お口のニオイは気になるものです。

「口がくさい」「息が臭う」
もし、そんな事を誰かに言われたら、自分という存在そのものまで否定されたようなつらい気持ちになるのではないでしょうか。

息のニオイに対する関心は、年々高まってきています。
日本でも、髪を整えたり、シャツにアイロンをかけるのと同じくらいに「臭わない、きれいな息」が、日常的なマナー、エチケットの一部になっています。

より爽やかできれいな息を目指したい方から、口臭でお悩みの方まで。
お口のニオイが気になる時は、お一人で悩みを抱えないで、どうぞお気軽にご相談下さい。

口臭対策について

口臭測定

口腔ガス内の口臭の有無の度合いの判定と、主要な口臭成分とされる揮発性硫黄化合物(VSC)を、最新の口臭測定機で科学的に分析、測定いたします。

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口臭対策のさまざま

当院での口臭対策の流れについて。

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口臭とドライマウス

ドライマウス(口腔乾燥症)が原因で生じる口臭もあります。当院ではドライマウスの症状も考慮して、両面からのアプローチで治療を行います。

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口臭症について

アメリカにおける歯科外来への受診理由のうち3番目に多いのが口臭です。

口臭はWHO(国際保健機構)の国際疾患分類(ICD-10)にも口臭症として正式に登録されています。

しかし、残念ながら日本においては2014年現在、いわゆる健康保険の対象になる疾病名の中に、口臭および口臭症はありません。

国際口臭学会における国際分類によれば、真性口臭症、仮性口臭症、口臭恐怖症の3つに分類され、真性口臭症は更に、生理的口臭と病的口臭に分けられます。

病的口臭についても、口の中が原因である局所的な病的口臭と、全身由来の病的口臭に分類されます。

ただし、これらは医科学的な分類であり、実際の臨床においては症状や原因は多岐にわたり、来院される患者様各個人においても、時間帯、状況によって、口臭の程度は変化します。 来院される患者様の中には、単純に診断することが困難なケースも多々あります。

口臭の主な原因

口臭の多くの原因は、口の中にあります。

中でも「舌苔(ぜったい)」は口臭の大きな原因の一つで、6割もの口臭が舌苔から発生するという説があるほどです。

また、歯周病も口臭と大きく関わっています。 歯周病になると、歯周ポケット( 歯と歯茎の境目の溝がポケットのように深くなってしまうもの)が深くなっていきますが、 これは口の中の嫌気性細菌の格好の住処となります。

嫌気性細菌はタンパク質を分解する酵素を出して、破壊された組織や血球成分などのタンパク質を分解し、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物を発生させてしまいます。

舌苔(ぜったい)と口臭

舌苔(ぜったい)

鏡で舌を見ると白い汚れが付着しているのが見える事があります。

これが「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる舌の表面に付着している汚れです。

舌の表面や舌乳頭(舌の表面に多数ある小突起)の間に付着した細菌や、 口の中からはがれ落ちた粘膜細胞、食べかすなどのかたまりです。

舌苔は、歯垢と同様に細菌の温床であり、舌苔の表面の上皮細胞が剥離脱離したものや、粘膜からの分泌された浸出液中の白血球が、口腔内の細菌より分解・代謝され、硫黄化合物を産出し、口臭の原因となります。

口臭の原因物質の生成に関与する微生物として、 嫌気性菌のBacteroides、Porphyromonas、Prevottella、Clostridium、Fusobacterium、Veilonella、通性嫌気性菌の、Eubacterium、Actinomyces、Streprococci、Lactobacillus、Peptococcus、Peptostreptococcus、その他Oralspirochetesなどがあげられます。

口腔内では剥離した口腔粘膜の細胞同士が粘着し、舌苔等を形成し、上記の細菌の主たる住処となります。

こうした細菌のタンパク分解酵素によって、口腔粘膜細胞の硫黄分を含んだタンパク質が分解され、低分子化します。

そして低分子化された各物質のうちシステインは、硫化水素(H2S)、
メチオニンはメチルカプタン(CH3SH)やジメチルサルファイド((CH3)2S)
といった硫黄化合物、つまり口臭物質へと変化します。

その他微量ですが、口腔内粘膜や白血球の細胞を構成するアミノ酸のうち、リジンからカタベリン、トリプトファンからインドールやスカトール、アルギニンからピュトレシンが、また、アミノ酸全般と尿素からアンモニアが、口臭物質として代謝、生成されます。

歯垢(プラーク)と口臭

歯垢(プラーク)

歯の表面に付着した歯垢(プラーク)は、細菌によって乳酸やギ酸、酢酸、ピルビン酸、フマール酸、コハク酸、プロピオン酸、アセチルCoAが産生され、アセチルCoAからは更にエチルアルコールが産生されます。

これらの有機酸やアルコールは、その他の口臭物質に混ざって呼気に存在し、臭いを複雑化させます。

この歯垢(プラーク)1mgの中には10億個の細菌が住みついていると言われ、中でも歯周病をひき起こす細菌が、特異的に存在していることが解明されています。

歯周病と口臭

歯周病

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。

歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞してプラーク(歯垢)が蓄積し、歯肉の辺縁が炎症を帯びて赤くなったり、腫れたりします。

そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、重度に進行すると、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最終的には歯を抜かなくてはならなくなる場合もあります。

歯周病原菌は揮発性硫黄化合物の中でも、より悪臭の強いメチルメルカプタンを大量に産生します。 そのため歯周病には、強い口臭が発生しやすいという特徴があります。

メチルメルカプタンの検出量は、歯周ポケットの深さと比例しています。 歯周ポケット内の滲出液の中にはメチルメルカプタン生成のための基質(原料)となるメチオニンが多く含まれていることも、その原因の一つです。

ちなみにその他、メチルメルカプタンに加えて、リジンやピコリンも歯周疾患由来の口臭物質です。

歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなり、強い口臭のもととなるため、ポケット内部の歯垢を除去して、適切なプラークコントロールを行い、ポケットを浅くしていく事が必要になります。

口臭の原因物質

通常、口臭の主な原因物質は、揮発性の硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)です。

硫黄化合物には多くの化合物が含まれますが、お口の中の空気中には硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、ジメチルサルファイド((CH3)2S)の3種類のガスが、単独あるいは混在して認められます。

これらのガスは、それぞれ悪臭物質として知られています。 それらは生活排水等、いわゆる下水の中にも多く含まれています。

硫黄化合物は一般に毒性が強く、家庭用洗浄剤を誤って混ぜて中毒死を引き起こしたり、火山性のガスにより事故死をするなど、多量の吸引は人命に関わったりもします。

ただ、硫黄化合物の中にも栄養ドリンクに配合されているタウリンといった物質もあり、すべてが有毒というわけではありません。

その他、口腔内の細菌によって代謝生産されるスカトール、インドール、フェノール、低級脂肪酸、アミン類といった物質は、呼気に微量に含まれ、極度に濃縮されると口臭の原因となり得ます。

アセトアルデビト、エチルアルコール、メチルアルコールなどアルコール類、およびアルコール代謝産物もごく微量ながら検出されます。

唾液の中に存在するリジンからの細菌代謝産物カタベリンが、口臭の原因であるという学説もありますが、カタベリンは強アルカリ下においてのみ揮発性ガスとして働き、口腔内は一般に中性から酸性の環境下にあるので、口臭の補助的要素の一つにすぎないのではないでしょうか。

カタベリンとは異なり、口臭の主な原因といわれる硫黄化合物(VSC)は、一般的な口腔内の状態である、中性からアルカリ性の環境下において活発に揮発しガス化します。

当院では、3種類の硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド)を、ガスクロマトグラフィー(ガス濃度測定器)によって、測定しております。

お口のにおいが気になる方は、口臭測定を行うことで、測定による客観的な数値で口臭の度合いを確認することができます。

全身疾患と口臭

口臭の原因の多くは口の中にありますが、中には他の要因によるものもあります。

例えば、腎疾患の患者さんからは、アンモニアが混ざったようなアミン臭が感知できます。

胃がんや胃潰瘍の原因になるピロリ菌の保菌者は、ピロリ菌によって胃の粘膜でアンモニアが産生されますが、口臭に影響を与える程の量ではないようです。

硫黄化合物(CVS)のうち、硫化水素やメチルメルカプタンは腸粘膜において代謝されますが、ジメチルサルファイド((CH3)2S)のみは代謝されず残存します。

そのためジメチルサルファイドは腸から吸収され、血液や肺を介して呼気に含まれることがあります。

お口の中由来の口臭症では、通常硫化水素が発生します。よって、硫化水素が少なく、ジメチルサルファイドが検出されると、血流や肺を介しての内臓由来の口臭の可能性が高まります。

稀な症例ではありますが、トリメチルアミン尿症(Trimethylamineuria:TMAU)という病気があります。

常染色体の劣性遺伝が原因の遺伝疾患であり、一般的に魚臭症と呼ばれます。 この病気は体臭や尿臭のトリメチルアミン臭が特徴で、呼気にも特有の魚臭が強く混ざります。

一般的にトリチルアミンは腸内の細菌が食物中のコリンを代謝して産生されます。 このトリチルアミンは腸から吸収され、肝臓でトリチルアミン酸化酵素により分解されます。

しかし魚臭症の方は先天的にこの酵素が欠如しているため、生体中のトリメチルアミン濃度が上昇します。そのため、独特の口臭、体臭が発生します。

副鼻腔、特に上顎洞(鼻と交通した頬のあたりの骨の空洞)に慢性炎症を生じ、膿汁が溜まると(いわゆる蓄膿症)、鼻からの息だけでなく、喉を通じて口からの呼気に膿の臭いが感じられる事もあります。

後鼻漏といって、鼻腔に生じた鼻汁が喉奥へ垂れ落ちたりし、その鼻汁の原因が細菌からの感染性のものであれば、悪臭として呼気に混ざったりします。

喉の奥に位置する扁桃腺の開口部に蓄積した分泌物が細菌によって腐敗し、 悪臭の素になることもあります。

肝炎や肝機能障害の患者さんは腸管から吸収された硫黄化合物(VSC)を解毒する機能が低下し、肺を介して呼気に排泄されます。同様の作用機序により、アミノ酸の呼気中への排泄が認められます。

糖尿病の方は、インシュリン分泌が低下しているため、体内の各細胞内に栄養素であるブドウ糖を送り込むことができません。

そのため細胞の外では逆にブドウ糖が停滞し、高血糖になってしまいます。

体内の各細胞内ではブドウ糖が不足しているので、脂肪がβ(ベータ)酸化され、エネルギー源となります。 この過程でケトン体が生産され、呼気に混じり特有の口臭が発生する事があります。

体調や摂取したものによって生じる口臭

にんにく料理

食事制限を伴うダイエット中の方からも、ケトン体による口臭が発生します。

ダイエットで体内の糖分が不足すると、個々の細胞が飢餓状態になり、肉体への代謝を維持するため、脂肪が燃焼されます。

この脂肪の燃焼によってケトン体が産生され、息の中に混ざりるため、いわゆるケトン臭というダイエット特有の口臭が発生します。

ケトン臭は肥満の方、脂質代謝異常、抗脂肪質食摂取によっても生じます。

食べると口臭が気になる食物の代表として、ニンニクがあげられます。

ニンニクの成分の中でも有名なのが、硫黄化合物のアリシンやアリインです。 これらは人体にとってニンニクの重要な薬効成分ですが、このアリシンやアリインが代謝されたアリル化合物の中のアリルメチルサルファイドが体内で分解されずに呼気に長時間混ざることで、お口のニオイの原因となります。

また、ニンニクを摂取すると、体脂肪の代謝(分解)が促進され、大量のケトン体(アセトンの総称)が産生し、呼気に排出されます。

ニンニクだけでなく、ネギやニラなど、ニオイの強いを食べた後は、口の中に残った食べかすが直接臭う場合と、体内で消化吸収された臭いの原因物質が血液によって運ばれ、やがて肺から呼気として排出されて臭う場合があります。

また、アルコールを多量に摂取した翌日に口臭が気になる事があると思います。それはアルコール分解のため体内の水分が多量に消費されるためで、口腔内の細胞は保湿力を失い、唾液や細胞からの浸出液による殺菌作用や静菌作用は極めて低下した状態になります。

そして口腔内の細菌によって硫化水素が大量に産生され、口臭が発生します。

喫煙と口臭

喫煙と口臭

タバコの煙に含まれる、タールとニコチン。この2つの成分が口臭に大きく影響しています。

タールはいわゆる「ヤニ」と呼ばれる成分で、これ自体が独特の臭いを発します。 成分中にはベンゾピレンを代表とする多くの有害な物質を含んでいます。

喫煙後、タバコのフィルター部分に見える茶色のシミはタールによるもので、舌や歯、歯垢、歯石などにも付着します。

そのため、口腔内にタールの臭いが残り、それが口臭の原因になると考えられています。

ニコチンはタバコへの依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用します。

喫煙することで肺から吸収され全身に広がりますが、ニコチンの吸収により毛細血管は収縮し、血行は低下してゆきます。

滞った血流を補うため、心拍数が上昇することによって、血圧が上昇し、心臓の負担も高まります。残念なことに心臓を構成する心筋細胞は、再生する能力がありません。一度衰えた心臓の細胞は、二度と活動することがありません。

そのため末端の組織過大な負担がかかり、さまざまな影響があらわれます。喫煙による毛細血管の収縮や免疫の低下によって、末梢の細胞の壊死が引き起こされることもあり、うまく新陳代謝されずにプラークや 歯石に壊死した細胞が老廃物として蓄積されていきます。

そして、歯周組織にダメージを与え、歯肉炎を加速させます。難治性の口内炎を繰り返す方もいます。

また、毛細血管の収縮は唾液線の栄養の供給を滞らせ、唾液の分泌量を低下させます。

粘膜からの滲出液量も減り、口腔内の自浄機能は衰弱化します。

食物の残渣は滞留しがちになり、口腔内の病的な細菌数は増加します。 そのため、口臭の質は悪化してゆきます。

唾液と口臭(ドライマウス型口臭)

唾液の分泌が減り口腔内の酸素濃度が低下すると、活発化した嫌気性菌が歯垢などを分解して、揮発性硫黄化合物が発生し、悪臭が起こってしまいます。

さらに唾液には、口臭を防ぐのに欠かせない洗浄作用、抗菌作用、粘膜の保護作用がありますが、慢性的に唾液分泌量が減少して お口が渇く症状にお悩みの方が、年々増加しています。

慢性的な唾液不足の症状はドライマウス(口腔乾燥症)と呼ばれます。

ドライマウスが原因の口臭はドライマウス型口臭と言われることもあります。

唾液の質や分泌量と口臭との関連性は、ここ10年に加速度的に研究が進んだテーマです。

口臭を気にして来院される患者さんの状態を把握する指標として、口腔内の湿潤状態および乾燥状態を測定し、検討することは、口臭外来の標準的な検査となっています。

唾液不足の原因には様々なものがあり、抗精神薬や睡眠薬などの薬物の副作用によるもの、強い緊張やストレスによるもの、シェーグレン症候群などの全身疾患の影響によるもの等が挙げられます。

当院では、ドライマウス型の口臭への対策も行っております。 お口の乾燥やお口のにおいが気になる方は、どうぞお気軽にご相談下さい。

>>ドライマウスについて、詳しくはこちらへどうぞ

診療名
口臭対策(検査、口腔内クリーニング、舌クリーニング)
診療の概要
検査を行い、口臭の度合いや、原因などを確認します。その後、原因除去のひとつとして、口腔内クリーニング、舌クリーニングを行います。
診療の副作用やリスク
全身疾患とも関連性がある場合もあるため、症状の改善度合いには個人差があります。口腔内に起因する口臭ではないときには、歯科では対応しかねる場合があります。口腔内クリーニングや舌クリーニングを行った場合、数日間粘膜に違和感を生じる場合があります。
診療の価格
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